2026年6月5日金曜日

大人の睡眠、足りていますか?厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」成人版から考える睡眠の大切さ

※本記事は一般向けの健康情報です。睡眠障害の診断や治療を目的としたものではありません。強い日中の眠気、いびき、睡眠中の無呼吸、長引く不眠、気分の落ち込みなどがある場合は、医療機関へ相談してください。

子どもの睡眠について調べていたところ、厚生労働省の 「健康づくりのための睡眠ガイド2023」には、成人版・こども版・高齢者版があることを知りました。

今回はその中でも、働く世代、子育て世代、家事や介護に追われる世代にも関係が深い 「成人版」をもとに、大人の睡眠について整理します。

睡眠は「疲れたら寝るもの」「削っても何とかなるもの」と思われがちです。 しかし、睡眠不足が慢性化すると、日中の眠気や集中力低下だけでなく、生活習慣病、メンタルヘルス、仕事のパフォーマンスにも関係します。

結論:大人の睡眠は「6時間以上」と「睡眠休養感」が大切

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」成人版では、成人の睡眠について、次のような考え方が示されています。

  • 6時間以上を目安に、必要な睡眠時間を確保する
  • 睡眠時間だけでなく、朝起きたときの睡眠休養感を大切にする
  • 睡眠環境、運動、食事、カフェイン、飲酒、喫煙などを見直す
  • 不眠や強い眠気、睡眠休養感の低下が続く場合は、医療機関への相談も考える

ここで大切なのは、単に「長く寝ればよい」という話ではないことです。 大人の睡眠では、睡眠時間の量と、眠って休めた感覚の両方を見る必要があります。

睡眠休養感とは?

睡眠休養感とは、簡単に言うと、 「眠ったことで休養がとれた」と感じられる感覚のことです。

たとえば、同じ6時間睡眠でも、

  • 朝すっきり起きられる
  • 日中の眠気が少ない
  • 仕事や家事に集中できる
  • 気分が比較的安定している

という場合は、睡眠休養感が得られている可能性があります。 一方で、睡眠時間を確保しているつもりでも、

  • 朝から疲れている
  • 昼間に強い眠気がある
  • 集中力が続かない
  • 休日に極端に寝だめしないと動けない
  • 寝ても寝ても疲れが取れない

という場合は、睡眠の質や生活リズム、睡眠時無呼吸などの睡眠障害が関係している可能性もあります。

大人の睡眠不足は、健康リスクと関係する

睡眠不足は、単に「眠い」「だるい」だけの問題ではありません。 厚生労働省のガイドでは、睡眠時間の不足や睡眠の問題が慢性化すると、肥満、高血圧、2型糖尿病、心疾患、脳血管障害、うつ病などとの関連が報告されていると整理されています。

また、睡眠不足は注意力や判断力の低下にもつながり、仕事のミス、交通事故、労働災害などのリスクにも関係します。

忙しいときほど「睡眠を削る」のはありがちですが、長い目で見ると、睡眠を削ることは体調・仕事効率・メンタル面のすべてに悪影響を与える可能性があります。

「休日の寝だめ」で解決できるとは限らない

平日は睡眠時間が短く、休日に昼近くまで寝る。 このような生活をしている方は少なくないと思います。

しかし、厚生労働省のガイドでは、休日に長く寝て平日の睡眠不足を取り戻そうとする「寝だめ」は、実際には眠りを「ためる」ことはできないと説明されています。

休日の寝だめが習慣になると、平日と休日で睡眠リズムが大きくずれます。 これは「社会的時差ボケ」とも呼ばれ、体内時計の乱れにつながる可能性があります。

もちろん、疲れている日に少し長く寝ること自体が悪いわけではありません。 ただし、毎週のように休日の寝だめが必要な状態であれば、平日の睡眠時間が足りていないサインかもしれません。

大人のためのGood Sleep 5原則

厚生労働省の成人版Good Sleepガイドでは、毎日をすこやかに過ごすための睡眠の考え方として、次の5つが整理されています。

1. 6時間以上を目安に睡眠時間を確保する

成人では、必要な睡眠時間には個人差があります。 ただし、まずは6時間以上を目安に、必要な睡眠時間を確保することが大切です。

「自分は短時間睡眠でも大丈夫」と感じていても、日中の眠気、集中力低下、ミスの増加、休日の寝だめがある場合は、慢性的な睡眠不足が隠れている可能性があります。

2. 光・温度・音に配慮した睡眠環境を整える

睡眠の質を整えるには、寝室環境も重要です。

  • 朝はカーテンを開けて光を浴びる
  • 日中はできるだけ明るい環境で過ごす
  • 夜は照明を少し落として過ごす
  • 寝室を暑すぎず寒すぎない温度にする
  • 寝室はできるだけ静かにする
  • スマホやタブレットを寝室に持ち込まない

特に寝る前のスマホやタブレットは、光の影響だけでなく、情報刺激によって脳が休まりにくくなることがあります。 寝る直前までSNS、動画、ゲーム、仕事の連絡を見る習慣がある方は、まずここから見直すのがおすすめです。

3. 適度な運動、朝食、寝る前のリラックスを意識する

良い睡眠は、夜だけで決まるわけではありません。 朝と昼の過ごし方も、夜の眠りに関わります。

  • 朝食をとる
  • 日中に体を動かす
  • 寝る前は仕事や家事を詰め込みすぎない
  • 就寝前はリラックスする時間をつくる

ウォーキングや軽い運動は、寝つきや睡眠の質に良い影響を与える可能性があります。 ただし、寝る直前の激しい運動は、かえって寝つきを悪くすることがあります。 夜に運動する場合は、就寝直前を避け、体が落ち着く時間を確保しましょう。

4. カフェイン・お酒・たばことの付き合い方を見直す

睡眠に影響しやすいものとして、カフェイン、アルコール、ニコチンがあります。

カフェインは、コーヒーだけでなく、紅茶、緑茶、ウーロン茶、コーラ系飲料、エナジードリンクなどにも含まれます。 夕方以降にカフェインをとると、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりすることがあります。

また、「寝酒をすると眠れる」と感じる方もいますが、寝酒は睡眠の質を悪化させる可能性があります。 アルコールは一時的に眠気を誘っても、夜間の覚醒を増やしたり、睡眠を浅くしたりすることがあります。

喫煙も睡眠の質を下げる可能性があるため、睡眠改善の視点からも見直したい生活習慣です。

5. 眠れない・眠りに不安があるときは専門家に相談する

生活習慣や睡眠環境を見直しても、

  • 不眠が続く
  • 日中の眠気が強い
  • 寝ても休んだ感じがしない
  • 大きないびきがある
  • 睡眠中に呼吸が止まっていると言われた
  • 朝の頭痛や強いだるさがある
  • 気分の落ち込みが続く

このような場合は、単なる生活習慣だけでなく、睡眠時無呼吸症候群、不眠症、うつ病、不安症、更年期に関連した不調などが関係している可能性もあります。

特に、大きないびき、睡眠中の無呼吸、日中の強い眠気がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性も考えられます。 自己判断で済ませず、医療機関へ相談しましょう。

忙しい大人が今日からできる睡眠チェック

まずは、次の項目をチェックしてみてください。

  • 平日の睡眠時間が6時間未満の日が多い
  • 休日に2時間以上長く寝ることが多い
  • 朝起きても休んだ感じがしない
  • 日中に強い眠気がある
  • 夕方以降にカフェインをよくとる
  • 寝る直前までスマホやパソコンを見る
  • 寝酒の習慣がある
  • 運動不足を感じている
  • 朝食を抜くことが多い
  • いびきや無呼吸を指摘されたことがある

複数当てはまる場合は、睡眠不足や睡眠休養感の低下が起きている可能性があります。 まずは、できるところから生活を整えていきましょう。

看護師目線で伝えたいこと

医療現場で働いていると、体調不良の背景に「眠れていない」「休めていない」状態が隠れていることは少なくありません。

頭痛、だるさ、血圧の乱れ、食欲の乱れ、気分の落ち込み、集中力の低下。 こうした症状は、必ずしも睡眠だけが原因とは限りません。 しかし、睡眠が崩れていると、体も心も回復しにくくなります。

特に働く世代や子育て世代は、自分の睡眠を後回しにしがちです。 「家族のため」「仕事のため」と思って睡眠を削っている方ほど、まずは自分の休養を守ることも大切です。

まとめ:大人の睡眠は、健康と仕事の土台です

大人の睡眠で大切なのは、次の2つです。

  • 6時間以上を目安に睡眠時間を確保すること
  • 朝起きたときに休めた感覚、つまり睡眠休養感を大切にすること

睡眠は、削ってもすぐには大きな問題として見えにくいかもしれません。 しかし、慢性的な睡眠不足は、体の健康、心の健康、仕事の効率、安全にも関係します。

今日からできることは、難しいことではありません。

  • 寝る前のスマホを少し早めに終える
  • 夕方以降のカフェインを控える
  • 寝酒を睡眠対策にしない
  • 朝は光を浴びる
  • 朝食をとる
  • 日中に少し体を動かす
  • 休日の寝だめに頼りすぎない

睡眠は、毎日の健康づくりの土台です。 「最近疲れが取れない」「寝ても休んだ感じがしない」と感じる方は、まず自分の睡眠を見直してみてください。

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