こんにちは、看護師のニシユウです。今回は私がクリニック勤務を通して学んだ、小児医療に関する重要な知識をお伝えします。
急性期から慢性期、そしてクリニックへ
私はキャリアの始まりとして145床ほどのケアミックス型病院で勤務し、慢性期・回復期病棟、介護老人保健施設での経験を積みました。その後、現在の一次救急を専門とするクリニックに転職しました。ここでは小児から高齢者まで幅広い患者さんが来院されます。
入職当初は小児対応の経験がなく苦労しましたが、日々の臨床を通して多くを学びました。特に印象的だったのが「3か月未満の乳児の発熱管理」についてです。
3か月未満の乳児の発熱:なぜ重要視されるのか
臨床現場で特に注意すべき点として、3か月未満の乳児が38℃以上の発熱を呈した場合、原則入院適応となるという事実があります。看護基礎教育では「3か月未満は母体からの免疫があるため感染症にかかりにくい」と学びますが、この時期の乳児の発熱は逆に重篤な状態を示唆することがあります。
最新の小児科診療ガイドラインによると、3か月未満の乳児は:
- 母体由来の免疫グロブリン(主にIgG)が残存している一方で、自己の免疫系はまだ未発達
- 発熱があることは、その限られた防御機能を超える侵襲が生じている可能性を示唆
- 髄膜炎や菌血症などの重篤な細菌感染症のリスクが他の年齢層より高い
そのため、原因不明の発熱があった場合は、精査と厳重な観察を目的として入院管理が必要とされています。
コロナ禍での変化
COVID-19パンデミック期間中、この原則にも変化が見られました。3か月未満の乳児がCOVID-19陽性と診断された場合、病因が特定されているため、患児の全身状態が良好であれば自宅療養が指示されることもありました。
これは医療リソースの配分という側面もありますが、感染症の原因が判明していることで、未知の重篤感染症のリスク評価が変わるためです。ただし、最新の小児科学会のガイドラインでは、特に新生児や早期乳児のCOVID-19感染については慎重な対応が推奨されています。
医療知識の格差と患者教育の重要性
この「3か月未満の発熱は要注意」という知識は、驚くことに経験豊富な保護者でも知らないことが多いです。医療者と一般の方々の間には、疾患に関する知識に大きな差があります。
インターネットで容易に情報を得られる時代ですが、信頼性の高い医療情報を選別することは難しいのが現状です。そのため、私たち医療者が実際の経験や科学的根拠に基づいた情報を分かりやすく伝えることが重要だと感じています。
今後も臨床で得た知見や最新のエビデンスに基づいた情報を、このブログを通してお伝えしていければと思います。次回もどうぞお楽しみに。
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