2025年7月8日火曜日

夏の発熱は熱中症?それとも感染症?看護師が見た受診事例と見逃してはいけないサイン

こんにちは。看護師のニシユウです。

今年も暑い季節がやってきました。
私が勤務するクリニックでも、暑さが厳しくなる時期には、熱中症を疑って受診される方が増えてきます。

ただ、夏場に注意したいのは熱中症だけではありません。
発熱、倦怠感、頭痛などは熱中症でも感染症でもみられることがあり、実際の現場でも 「熱中症だと思っていたら感染症だった」 というケースがあります。

今回は、実際の受診事例をもとに、 熱中症と感染症を見分けるポイント、見逃してはいけない危険サイン、家庭でできる初期対応 について整理します。

※この記事は一般的な健康情報です。症状が強い場合や判断に迷う場合は、自己判断せず医療機関へ相談してください。


事例①:炎天下での仕事中に足がつる・頭痛・強い倦怠感

40代男性/屋外での警備業務中に体調不良

炎天下で警備業務をしていた方が、大量に汗をかいたあと、 足がつる、強い倦怠感、頭痛 を訴えて受診されました。

ご本人は「水分はこまめに摂っていた」と話されていましたが、汗を大量にかいた状況で、 水分だけではなく塩分・電解質の補給が不十分だった可能性がありました。

来院時は会話可能でしたが、疲労感が強く、皮膚は乾燥傾向。診察のうえで点滴治療を行い、症状は改善しました。 その後は、自宅で安静に過ごすこと、経口補水液などで水分と電解質を補うこと、再度悪化した場合は早めに受診することを説明しました。

ポイント:
暑い環境で大量に汗をかいた場合、「水を飲んでいるから大丈夫」とは限りません。汗と一緒に塩分も失われるため、状況に応じて水分だけでなく塩分・電解質の補給も重要です。

事例②:運動中の発熱。「熱中症かも」と思ったら感染症だったケース

20代男性/スポーツ中に体調不良

運動を始めてしばらくしてから体調が悪くなり、 38℃台の発熱 があったため、「熱中症かもしれない」と受診されました。

しかし、問診を進めると、発熱だけでなく 咽頭痛、鼻水、倦怠感 もみられました。

熱中症でも頭痛や倦怠感は起こりますが、咽頭痛、鼻水、咳などの呼吸器症状がある場合は、 新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどの感染症も考える必要があります。

検査の結果、この方は新型コロナウイルス感染症と診断されました。

ポイント:
夏場の発熱は、必ずしも熱中症とは限りません。
「暑い場所にいた」「運動していた」という情報に加えて、咽頭痛、鼻水、咳、周囲の感染状況なども確認することが大切です。

熱中症と感染症は、なぜ見分けにくいのか?

熱中症と感染症は、どちらも 発熱、頭痛、倦怠感、吐き気 などが出ることがあります。 そのため、症状だけで完全に見分けることは難しい場合があります。

ただし、考え方のポイントがあります。

熱中症で疑いやすい状況

  • 暑い場所、湿度の高い場所に長時間いた
  • 屋外作業やスポーツをしていた
  • 大量に汗をかいた
  • 水分や塩分の補給が不十分だった
  • 足がつる、筋肉がけいれんする
  • 涼しい場所で休むと少し改善する

感染症も疑いたい症状

  • 咽頭痛がある
  • 鼻水、咳がある
  • 寒気がある
  • 周囲に体調不良者がいる
  • 暑さとは関係なく発熱が続く
  • 下痢、関節痛、強い倦怠感がある

重要なのは、 「熱中症か感染症か」を無理に自己判断しないこと です。 特に夏場は、熱中症と感染症が同時期に起こることもあります。


熱中症で見逃してはいけない危険サイン

次のような症状がある場合は、軽症とは考えず、早めの受診や救急要請を検討してください。

  • 呼びかけへの反応が鈍い
  • 意識がぼんやりしている
  • 自力で水分が飲めない
  • 嘔吐を繰り返す
  • まっすぐ歩けない、立てない
  • けいれんがある
  • 体が熱く、皮膚が乾いている
  • 休んでも症状が改善しない
救急車を考える目安:
意識がおかしい、自力で水分が摂れない、けいれんがある、歩けない、ぐったりしている場合は、迷わず救急要請を検討してください。

家庭や現場でできる初期対応

熱中症が疑われる場合は、まず次の対応を行います。

  1. 涼しい場所へ移動する
    エアコンの効いた室内、日陰、風通しのよい場所へ移動します。
  2. 衣服をゆるめる
    ベルトや襟元をゆるめ、熱が逃げやすい状態にします。
  3. 体を冷やす
    首、わきの下、足の付け根など太い血管が通る部位を冷やします。
  4. 水分・塩分を補給する
    意識がはっきりしていて飲める場合は、経口補水液やスポーツドリンクなどを状態に応じて使用します。
  5. 改善しない場合は医療機関へ
    症状が続く、悪化する、自力で飲めない場合は受診が必要です。

なお、意識がはっきりしない人に無理に飲ませると、誤嚥の危険があります。 その場合は水分を飲ませようとせず、救急要請を検討してください。


水だけでは不十分なことがある

現場でよく見られるのが、 「水分補給はしていたけれど、水だけだった」 というケースです。

汗を大量にかくと、水分だけでなく塩分も失われます。 その状態で水だけを大量に飲むと、体内の電解質バランスが崩れる可能性があります。

屋外作業、スポーツ、長時間の外出などでは、 水分とあわせて塩分・電解質を補う意識 が大切です。

ただし、腎臓病、心臓病、高血圧などで水分や塩分制限を受けている方は、経口補水液やスポーツドリンクの使用について主治医に確認してください。


夏の体調不良は「熱中症だけ」と決めつけない

夏場は、暑さによる体調不良が増える一方で、新型コロナウイルス感染症、インフルエンザ、感染性胃腸炎などの感染症も起こります。

特に、 発熱に加えて、咳、鼻水、咽頭痛、下痢、周囲の感染状況 がある場合は、感染症の可能性も考える必要があります。

熱中症も感染症も、早期に気づき、早めに対応することで重症化を防ぎやすくなります。 「いつもと違う」「休んでも改善しない」と感じた場合は、早めに医療機関へ相談してください。


まとめ

  • 夏の発熱は、熱中症だけでなく感染症の可能性もある
  • 咽頭痛、鼻水、咳がある場合は感染症も疑う
  • 熱中症は体温だけでなく、意識状態や水分摂取の可否も重要
  • 水だけでなく、状況に応じて塩分・電解質の補給も考える
  • 意識障害、歩行困難、自力で飲めない場合は救急要請を検討する

これから本格的な暑さが続きます。
熱中症を予防するためには、こまめな水分補給、暑さを避ける工夫、無理をしない判断が大切です。

そして、発熱や体調不良があるときは、 「暑さのせい」と決めつけず、感染症の可能性も含めて考える ことが重要です。

この記事が、皆さまの健康管理の一助となれば幸いです。


参考リンク

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