【夏の高熱・体調不良】熱中症?感染症?見分けるヒントと受診・119の目安を看護師が解説

※本記事は2026年9月21日時点の厚生労働省、環境省、日本救急医学会などの公開情報をもとに作成した一般向けの健康情報です。
個別の診断・治療を目的としたものではありません。症状が強い場合や判断に迷う場合は、自己判断せず医療機関へ相談してください。記事中の事例は、個人が特定されないよう内容の一部を変更しています。

こんにちは。看護師のニシユウです。

暑い季節になると、医療機関には「熱中症かもしれない」と受診される方が増えます。 ただし、夏の体調不良をすべて熱中症と考えるのは危険です。

頭痛、強いだるさ、吐き気、体温上昇などは熱中症でもみられますが、 新型コロナウイルス感染症、インフルエンザ、急性呼吸器感染症(ARI)、感染性胃腸炎などの感染症でも起こります。 厚生労働省も、夏季にインフルエンザや新型コロナウイルス感染症を含む急性呼吸器感染症への対策を呼びかけています。

この記事では、実際の受診場面を参考にしながら、 「熱中症だけではない」と考えるためのヒント、家庭でできる初期対応、早めに受診する目安、119番を考える危険サイン を整理します。

先に大切なこと
体温だけで「熱中症」「感染症」を判別することはできません。
暑熱環境にいたか、どのような症状があるか、意識状態、水分が飲めるか、症状が改善しているかなどを総合して判断する必要があります。

事例①:炎天下の仕事中に足がつる・頭痛・強い倦怠感

40代男性/屋外での警備業務中に体調不良

炎天下で長時間勤務していた方が、大量に汗をかいたあと、 足がつる、頭痛、強い倦怠感 を訴えて受診されました。

本人は「水分はこまめに飲んでいた」と話していましたが、 大量の発汗がある状況では、水分とともに塩分も失われます。 診察では、暑熱環境での長時間作業や大量発汗などの経過も含めて熱中症が疑われ、必要な処置が行われました。

この事例からのポイント
「水を飲んでいた=熱中症にはならない」ではありません。大量に汗をかく作業や運動では、水分だけでなく塩分も失われます。暑熱環境・運動量・休憩・飲水状況を合わせて考えることが重要です。

事例②:運動中に体温上昇。「熱中症かも」と思ったら感染症だった

20代男性/スポーツ中に体調不良

運動中に体調が悪くなり、38℃台の体温上昇があったため、 「熱中症かもしれない」と受診されたケースです。

しかし問診を進めると、 咽頭痛、鼻水、全身倦怠感 もみられました。 検査の結果、新型コロナウイルス感染症と診断されました。

暑い場所にいたという情報は重要ですが、それだけで熱中症と決めることはできません。 咳、鼻水、咽頭痛などの呼吸器症状や、周囲の感染状況がある場合は、感染症も考える必要があります。

この事例からのポイント
「暑い日に運動していた」「体温が高い」という条件だけでは熱中症とは限りません。夏でも感染症は起こるため、症状の組み合わせを見ることが大切です。

熱中症と感染症を見分ける「ヒント」

熱中症と感染症には共通する症状があるため、家庭で完全に見分けることはできません。 ただし、受診の判断につながるヒントはあります。

確認すること 熱中症を疑うヒント 感染症も考えるヒント
直前の状況 高温多湿、屋外作業、運動、冷房のない室内など 暑さとの明確な関連がなく発症、周囲に体調不良者がいる
症状 めまい、立ちくらみ、筋肉のこむら返り、頭痛、吐き気、強い倦怠感など 咽頭痛、咳、鼻水、悪寒、下痢など
水分摂取 発汗が多い、水分・塩分摂取が不足している 発熱・咽頭痛・嘔吐・下痢などで飲食量が低下していることもある
休息後の変化 軽症なら涼しい場所での休息・冷却・補水で改善することがある 暑さを避けても症状が続く場合がある

※上記はあくまで「判断のヒント」です。一つの症状だけで熱中症や感染症を除外することはできません。また、感染症による発熱や下痢などで脱水し、熱中症のリスクが高まることもあります。

「体温が高い=熱中症」ではない

ここは誤解されやすいポイントです。 感染症などで起こる「発熱(fever)」と、熱中症などで体に熱がこもる「高体温(hyperthermia)」は、医学的には仕組みが異なります。

ただし家庭で体温を測っただけでは、その仕組みまで判断することはできません。 熱中症でも軽症の段階では著しい体温上昇がないことがありますし、感染症でも高熱になることがあります。

発熱と高体温の仕組みの違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

発熱と熱中症による高体温は何が違う?仕組み・対応の違いを解説

熱中症が疑われたときの初期対応

厚生労働省・環境省は、熱中症が疑われる場合の基本対応として、 暑さを避ける、体を冷やす、水分・塩分を補給する ことを案内しています。

  1. 涼しい場所へ移動する
    エアコンの効いた室内、風通しのよい日陰などへ移動します。
  2. 衣服をゆるめ、体を冷やす
    衣服をゆるめ、首まわり、脇の下、足の付け根などを冷やします。可能なら送風も組み合わせます。
  3. 自力で飲める場合は水分・塩分を補給する
    意識がはっきりしていて自分で安全に飲める場合は、水分・塩分を補給します。脱水が疑われる場合には経口補水液が選択肢になります。
  4. 症状の変化をみる
    改善しない、悪化する、嘔吐で飲めないなどの場合は医療機関へ相談します。
重要
意識がはっきりしない人や、自力で安全に水分を飲めない人へ無理に飲ませるのは危険です。誤嚥のおそれがあるため、119番を含めた緊急対応を考えてください。

119番を考える危険サイン

次のような状態では、家庭で様子を見るのではなく119番による救急要請を考える状態です。

  • 呼びかけへの反応がおかしい、意識がもうろうとしている
  • 意識を失っている
  • 自力で水分を飲めない
  • けいれんがある
  • まっすぐ歩けない、立てないほど状態が悪い
  • 体が非常に熱く、ぐったりしている

厚生労働省も、「自力で水が飲めない」「意識がない」場合はすぐに救急車を呼ぶよう案内しています。

なお、熱中症では発汗の有無だけで重症度を判断することはできません。 「汗をかいているから重症ではない」「皮膚が乾いていないから大丈夫」とは考えないでください。

早めに医療機関へ相談したい目安

119番を呼ぶほどではなくても、次のような場合は早めの受診を検討してください。

  • 涼しい場所で休み、冷却・補水しても症状が改善しない
  • 頭痛、吐き気、強い倦怠感が続く
  • 嘔吐を繰り返して水分が十分に取れない
  • 発熱に加えて咳、咽頭痛、鼻水などがある
  • 下痢や嘔吐があり、尿量が少ないなど脱水が心配
  • 高齢者、乳幼児、妊娠中、持病がある方で体調変化がある
  • 本人や家族が「いつもと違う」と感じる

夜間・休日などで受診先に迷う場合は、地域によって#7119(救急安心センター事業)が利用できます。 子どもの症状については#8000(子ども医療電話相談)もあります。 対応地域や利用時間は自治体によって異なるため、地域の案内をご確認ください。

「水だけでは不十分」はいつも同じ意味ではない

大量に汗をかいた場合、水分だけでなく塩分も失われます。 そのため、長時間の屋外作業や運動などでは、水分と塩分の両方を意識することが重要です。

一方、経口補水液は塩分濃度が比較的高いため、健康な人が日常の熱中症予防として常時飲み続ける飲料ではありません。 2026年の厚生労働省の職場向け資料でも、経口補水液は「定期的な摂取用には向かない」と案内されています。

日常の予防では、通常の食事をとりながらこまめに水分を補給し、 大量の発汗が予想される場面では塩分を含む飲料などを状況に応じて使います。 症状があり脱水が疑われる場合には、経口補水液が選択肢になります。

心臓病、腎臓病、高血圧などで水分や塩分の制限を受けている方は、 自己判断で摂取量を増やさず、主治医や医療機関へ相談してください。

夏は感染症にも注意

2026年も厚生労働省は、夏の感染症対策として 急性呼吸器感染症(ARI)、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱、RSウイルス感染症、手足口病 などへの注意を呼びかけています。

発熱や体調不良がある場合は、 「夏だから熱中症」と決めつけず、 咳・咽頭痛・鼻水・下痢・発疹・周囲の感染状況 なども確認してください。

まとめ:夏の体調不良は「暑さ」と「感染症」の両方を見る

  • 暑い環境にいたからといって、すべて熱中症とは限らない
  • 体温だけでは熱中症と感染症を区別できない
  • 咳・鼻水・咽頭痛などがあれば感染症も考える
  • 熱中症が疑われたら、涼しい場所への移動・冷却・安全に飲める場合の水分塩分補給を行う
  • 意識がおかしい、自力で飲めない、けいれんがある場合は119番を考える
  • 改善しない場合や判断に迷う場合は早めに医療機関へ相談する

熱中症も感染症も、早めに異変へ気づくことが大切です。 「暑さのせいだろう」と決めつけず、症状の組み合わせとその人の様子を見てください。


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