※本記事は2026年9月21日時点の日本小児科学会「こどもの救急」、厚生労働省、NICE、米国小児科学会(AAP)などの公開情報をもとに作成した一般向けの医療情報です。
個別の診断や治療を行うものではありません。生後3か月未満の赤ちゃんで38.0℃以上の発熱を確認した場合は、元気そうに見えても医療機関へ速やかに連絡し、受診について指示を受けてください。反応がおかしい、呼吸が明らかに苦しい、唇が青紫色、けいれん、自力で飲めないなどの状態では119番を考えてください。
こんにちは。看護師のニシユウです。
赤ちゃんが熱を出すと、保護者の方はとても不安になると思います。
特に注意してほしいのが、生後3か月未満の赤ちゃんの38.0℃以上の発熱です。
この記事の結論
生後3か月未満で38.0℃以上の発熱を確認した場合は、元気そうに見えても、速やかに医療機関へ連絡し、受診について指示を受けてください。
「ミルクを飲めているから大丈夫そう」
「きょうだいの風邪がうつっただけかも」
「少し様子を見てもいいかな」
そう思う場面もあるかもしれません。
しかし、生後間もない赤ちゃんは免疫機能がまだ未成熟で、年長児よりも重い感染症を見逃さないための慎重な評価が必要です。
また、体調不良を言葉で伝えることができず、重い感染症でも最初は見た目の変化が乏しいことがあります。
発熱の背景に、尿路感染症、肺炎、菌血症、髄膜炎など、早期の診断と治療が必要な病気が隠れていることがあります。
生後3か月未満の発熱は、なぜ注意が必要なのか
この時期の赤ちゃんは、感染症に対する免疫反応がまだ発達途中です。 また、大人や年長児のように、
- のどが痛い
- 頭が痛い
- お腹が痛い
- だるい
といった症状を言葉で伝えることができません。
そのため、重い感染症であっても、最初は次のようなわかりにくいサインだけのことがあります。
- 少し飲みが悪い
- なんとなく元気がない
- いつもより寝ている
- 泣き方が弱い
- 顔色が悪い
- おしっこの量が少ない
日本小児科学会の「こどもの救急」でも、38℃以上の発熱時に「生後3か月未満」を重要な確認項目として扱っています。 国際的なガイドラインでも、若い乳児の38.0℃以上の発熱は慎重な評価が必要とされています。
そのため、保護者から見て「そこまで具合が悪そうに見えない」と感じても、 生後3か月未満で38.0℃以上を確認したら、家庭だけで様子を見るのではなく、医療者へ連絡してください。
受診の目安:生後3か月未満で38.0℃以上なら速やかに相談
生後3か月未満の赤ちゃんでは、熱の高さだけでなく、月齢そのものが重要な判断材料です。
| 赤ちゃんの状態 | 対応の目安 |
|---|---|
| 生後3か月未満で38.0℃以上 | 速やかに医療機関へ連絡し、受診について指示を受ける |
| 生後28日未満(新生児)の発熱 | 特に慎重な評価が必要。夜間・休日でも受診先へ連絡する |
| ぐったりして反応が弱い | 緊急性が高い。119番を含めた対応を考える |
| 呼吸が明らかに苦しそう | 緊急性が高い。119番を考える |
| 母乳・ミルクがほとんど飲めない | 速やかに医療機関へ相談・受診 |
| おしっこが普段より明らかに少ない | 脱水なども考え、早めに医療機関へ相談 |
| けいれんした | 119番を考える |
| 顔色が悪い、唇が青紫色 | 119番を考える危険サイン |
ポイント
年長児では、体温の数字だけでなく、水分摂取、呼吸、意識・反応、尿量など全身状態を合わせて緊急度を判断します。
一方で、生後3か月未満では「38.0℃以上」という年齢と体温の組み合わせ自体が重要です。
「熱が高い=必ず重症」ではない。でも月齢は重要
子どもの発熱では、体温の数字だけで重症度を判断することはできません。 年長児では、水分が取れているか、呼吸は安定しているか、反応は普段どおりかなど、全身状態を合わせて判断します。
しかし、生後3か月未満の赤ちゃんは別です。
この時期は重い感染症であっても、症状がはっきり出ないことがあります。 そのため、38.0℃以上の発熱が確認された場合は、家庭だけで「元気だから大丈夫」と判断せず、医療者へ相談することが大切です。
体温はどう測ればいい?
家庭では、わきの下で測る電子体温計を使うことが多いと思います。 測定するときは、次の点も確認してください。
- 厚着をしすぎていないか
- 布団や抱っこで熱がこもっていないか
- 室温が高すぎないか
- 泣いた直後や授乳直後ではないか
- 体温計が正しくわきに当たっているか
測定条件を整えて再確認することはできます。 ただし、生後3か月未満で一度でも38.0℃以上を確認した場合は、その後の測定で体温が下がっていても、最初の測定値と経過を医療者へ伝えて相談してください。
「測り直したら37℃台だったから受診しなくてよい」と、再測定の数字だけで判断しないことが大切です。
解熱剤は使っていい?まず医療機関へ相談を
生後3か月未満の赤ちゃんに対して、保護者の自己判断で解熱剤を使うのは避け、まず医療機関へ相談してください。
重要なのは、解熱剤で熱が下がったとしても、重い感染症を否定することはできないという点です。 熱が下がったことを理由に受診を遅らせないでください。
また、乳児の薬は月齢や体重、状態によって適切な薬や量が異なります。 きょうだいに処方された薬、以前処方されて残っている坐薬やシロップなどを自己判断で使用するのは避けてください。
保護者への注意
「以前もらった坐薬があるから使う」「上の子の薬を少しだけ使う」は避けてください。
生後3か月未満の発熱では、薬を使うかどうかよりも、まず医療者へ連絡して評価を受けることが大切です。
COVID-19・インフルエンザ・RSウイルスが陽性なら安心?
ここは保護者の方が誤解しやすいポイントです。
新型コロナウイルス、インフルエンザ、RSウイルスなどが陽性だった場合、 「原因がわかったから大丈夫」と思うかもしれません。
しかし、生後3か月未満では、ウイルス感染が確認されても、尿路感染症などの細菌感染症を完全に否定できるわけではありません。
ウイルス陽性は診断の重要な情報ですが、 「もう医療機関で評価を受けなくてよい」という意味ではありません。
覚えておきたいこと
ウイルス検査が陽性でも、生後3か月未満で38.0℃以上の発熱がある場合は、医療者へ連絡して受診について指示を受けてください。
予防接種後の発熱なら様子を見ていい?
予防接種後に発熱することはあります。 ただし、生後3か月未満の赤ちゃんでは、「予防接種の副反応だから大丈夫」と家庭だけで決めつけないことが大切です。
接種後48時間以内の発熱では、接種したワクチンや赤ちゃんの状態によって対応が異なる場合があります。 接種した医療機関から受けた説明を確認し、38.0℃以上を確認した場合や判断に迷う場合は、接種した医療機関や小児科へ連絡してください。
特に次のような状態では、予防接種後であっても速やかに医療機関へ相談してください。
- ぐったりしている、反応が弱い
- 母乳やミルクが明らかに飲めない
- 呼吸が苦しそう
- 顔色が悪い
- おしっこが普段より明らかに少ない
- 保護者が「いつもと違う」と感じる
受診前に家で確認しておきたいこと
医療機関や電話相談で状況を伝えるとき、次の情報があると診察や判断に役立ちます。
1.体温
- 何時に測ったか
- 何℃だったか
- どこで測ったか
- 何回測ったか
- 測り直した場合はその値も伝える
2.哺乳の様子
- 母乳やミルクをいつも通り飲めているか
- 普段より明らかに飲む量が減っていないか
- 飲む途中で疲れていないか
- 吐き戻しや嘔吐が増えていないか
3.おしっこ
- おむつがいつも通り濡れているか
- 普段より明らかに回数や量が減っていないか
- 最後におしっこが出たのはいつか
4.呼吸
- 呼吸が速くないか
- 胸や肋骨のあたりが呼吸のたびにへこんでいないか
- 鼻の穴を大きく動かして呼吸していないか
- うなり声のような呼吸をしていないか
- 唇や顔色が青白い・青紫色になっていないか
5.意識・反応
- あやしたときの反応は普段どおりか
- 泣き方が極端に弱くないか
- 起こしても反応が乏しくないか
- いつもと明らかに様子が違わないか
メモしておくとよい内容
・発熱に気づいた時間
・一番高かった体温と測定部位
・最後にミルクや母乳を飲んだ時間
・最後におしっこが出た時間
・咳、鼻水、嘔吐、下痢、発疹の有無
・周囲に感染症の人がいるか
・最近受けた予防接種と接種日
・すでに使用した薬があれば、その名前と時間
119番を考える危険サイン
生後3か月未満で38.0℃以上なら、見た目が元気でも医療機関へ連絡する必要があります。 そのうえで、次のような状態では電話相談を待つより119番を考えてください。
- 呼びかけや刺激への反応が明らかに弱い、意識がおかしい
- 呼吸が明らかに苦しそう、呼吸が止まりそう
- 唇や顔色が青紫色になっている
- けいれんしている
- 自力で母乳・ミルクをほとんど飲めないほど状態が悪い
- 急速に状態が悪化している
迷う場合でも、赤ちゃんの反応や呼吸、顔色に明らかな異常があるときは、電話相談の順番待ちをせず緊急対応を優先してください。
夜間・休日で迷ったときは#8000
夜間や休日に受診先や対応に迷う場合は、 #8000(子ども医療電話相談)を利用できます。
#8000では、小児科医師・看護師などから、家庭での対応や受診の必要性について助言を受けられます。 実施時間帯や一般ダイヤル番号は都道府県によって異なります。
ただし、生後3か月未満で38.0℃以上を確認した場合は「電話相談だけで様子を見る」という意味ではありません。 受診先がわからない場合などに相談窓口を活用し、医療機関での評価につなげてください。
参考: 厚生労働省|子ども医療電話相談事業(#8000)について
保護者に覚えておいてほしいこと
生後3か月未満の赤ちゃんの発熱は、家庭だけで判断するのが難しい症状です。
特に、38.0℃以上を確認した場合は、元気そうに見えても医療機関へ速やかに連絡することが大切です。
赤ちゃんは、症状を言葉で伝えることができません。
保護者が「いつもと違う」と感じた情報も、診察では大切な手がかりになります。
迷ったときに家庭だけで長く様子を見ず、医療者へ相談して次の行動を確認してください。
まとめ
- 生後3か月未満で38.0℃以上を確認したら、速やかに医療機関へ連絡する
- 元気そうに見えても、重い感染症を見た目だけで否定できない
- 新生児(生後28日未満)は特に慎重な評価が必要
- 測り直して熱が下がっても、最初に38.0℃以上だった事実を医療者へ伝える
- 解熱剤で熱が下がっても重症感染症は否定できない
- ウイルス検査が陽性でも、細菌感染症を完全には否定できない
- 反応がおかしい、呼吸が苦しい、唇が青紫色、けいれんなどは119番を考える
- 夜間・休日の受診先に迷った場合は#8000を活用する
免責事項
本記事は保護者向けの一般的な医療情報です。個別の診断や治療を行うものではありません。赤ちゃんの状態に不安がある場合は、医療機関、救急相談窓口、または119番へ相談してください。