皆さん、こんにちは。看護師のニシユウです。
今回は、私がクリニックで実際に経験した症例を通して、皆さんにぜひ知っておいていただきたい重要な症状・疾患についてお伝えします。
「糖尿病性ケトアシドーシス」ってどんな状態?
今回ご紹介するのは、「糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)」という病態です。名前の通り糖尿病が関係していますが、実はこの状態、もともと糖尿病と診断されていないお子さんでも突然発症することがあります。
DKAは、体がエネルギーとして糖を利用できなくなり、代わりに脂肪を分解することで「ケトン体」という酸性の物質が過剰に作られてしまうことで起こります。これにより血液が酸性に傾き、重篤な状態に陥ることがあります。
子どもに多い1型糖尿病とその危険性
先日、こんな患者さんが来院されました。
9歳児で、2ヶ月ほど前に発熱があって以来、倦怠感や強い喉の渇き(口渇)を訴え、たくさん水を飲む(多飲)症状が続いていたそうです。食事も摂れて学校にも行けていたため様子を見ていたそうですが、ここ2〜3日で倦怠感がさらに強くなり、食欲不振や体重減少もみられたため受診されました。
診察時に強い口渇があり、高血糖が疑われたため、すぐに尿検査と採血を実施しました。その結果、尿からはケトン体が検出され、採血では血糖値が600mg/dL以上という非常に高い数値が出ていました。これらの所見から糖尿病性ケトアシドーシスが強く疑われたため、すぐに総合病院へ紹介となりました。後日、入院治療になったとの連絡を受けています。
このお子さんには、もともと持病がありませんでした。このように、小児で突然糖尿病のような症状が現れる場合、ほとんどが1型糖尿病と考えられます。1型糖尿病は、インスリンという血糖値を下げるホルモンの分泌が極端に少なくなったり、全く出なくなってしまう病気です。インスリンが不足すると、体は糖をエネルギーとして利用できなくなり、代わりに脂肪を分解してエネルギーを得ようとします。その過程でケトン体が大量に作られ、血液が酸性になり、DKAを発症するのです。
もし受診が遅れていたら、高血糖による昏睡で命に関わる危険性もあったかもしれません。今回、適切なタイミングで受診してもらえて本当に良かった事例だと思います。
早期発見のために知っておきたいこと
大人に見られる糖尿病(多くは2型糖尿病)とは異なり、1型糖尿病は生活習慣とは関係なく発症することがほとんどです。子どもが下記のような症状を見せた場合、迷わず医療機関を受診しましょう。
異常な喉の渇き(多飲)
尿の量が多い、回数が多い(多尿)
体重減少(ダイエットをしていないのに痩せる)
倦怠感、疲れやすい
食欲不振
腹痛や吐き気、嘔吐
甘酸っぱい口臭(ケトン臭)
私自身、大人の高血糖症例はいくつか経験がありましたが、小児での糖尿病性ケトアシドーシスは初めての経験でした。改めて、この病気の知識を深めることの重要性を痛感しています。
今後も、皆さんに知っておいていただきたい疾患や健康情報を発信していきます。次回もお楽しみに!
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