【スバルS:HEV徹底解説】e-BOXERとの違いは?63Lタンク・AWD・3車種を比較【2026年版】

SUBARU S:HEV搭載SUVが山岳道路を走行するイメージ

※画像はSUBARUのストロングハイブリッド「S:HEV」の走行イメージをAIで作成したものです。実際の車両デザイン・カラー・装備とは異なる場合があります。車両仕様はSUBARU公式情報をご確認ください。

※本記事は2026年9月2日時点の株式会社SUBARU公式サイト、主要諸元、ニュースリリース、技術資料をもとに作成しています。燃費はWLTCモードによる国土交通省審査値であり、実際の燃費・航続距離は気温、道路状況、速度、エアコン使用、積載量、運転方法などによって変化します。価格・グレード構成・仕様等は変更される場合があるため、購入前にSUBARU公式サイト・販売店で最新情報をご確認ください。

雪道や悪路での走行安定性、そして「走る愉しさ」を重視してきたSUBARU。

一方で、これまでSUBARU車を検討するときに、燃費性能やワンタンクで走れる航続距離を気にしていた人も多いのではないでしょうか。

その電動化を大きく進めたのが、SUBARUの新世代ストロングハイブリッド「e-BOXER(ストロングハイブリッド)」=S:HEVです。

S:HEVでは、専用開発された2.5L水平対向エンジンに、駆動用・発電用という2つのモーターを組み合わせています。

さらに、SUBARUが長年採用してきたプロペラシャフトを用いる機械式AWDを維持しながら、63Lの大容量燃料タンクも実現しました。

「従来のe-BOXERと何が違う?」
「満タンなら本当に1,000km以上走れる?」
「ハイブリッドなのに、なぜ後輪モーター式AWDではない?」
「クロストレック、フォレスター、レヴォーグ レイバックならどれを選ぶ?」

この記事では、S:HEVの仕組み、従来e-BOXERとの違い、AWD制御、航続距離の正しい考え方、2026年9月時点でS:HEVを搭載する主要3車種の違いを、SUBARU公式情報をもとに整理して解説します。


【一目でわかる】S:HEVと従来e-BOXERの違い

まずは、クロストレックを例にS:HEVと従来の2.0L e-BOXERを比較してみましょう。

項目 S:HEV
ストロングハイブリッド
従来e-BOXER
システム 駆動用+発電用の2モーター 1モーターによるエンジンアシスト
エンジン 2.5L 水平対向4気筒 直噴 2.0L 水平対向4気筒 直噴
モーター最高出力 88kW(119.6PS) 10kW(13.6PS)
モーター最大トルク 270N・m 65N・m
AWD プロペラシャフト式AWD
(クラッチ開放制御)
プロペラシャフト式AWD
(AWD車)
燃料タンク容量 63L 48L
クロストレックAWDのWLTC燃費 18.9km/L 15.8km/L

※上表は2026年9月2日時点のクロストレック主要諸元を代表例として比較しています。e-BOXERの仕様は車種・世代によって異なります。

なお、現行クロストレックについては、2026年9月14日に新規注文受付を終了する予定とSUBARUから案内されています。また、現行モデルをもって2.0L e-BOXERの展開も終了予定です。販売店在庫や今後のモデル展開については最新情報をご確認ください。


1. S:HEVは何が新しい?2.5Lボクサー+2モーター

SUBARU S:HEVの2.5L水平対向エンジン、2モーター、機械式AWDの構成を示したパワートレイン概念図

※画像はSUBARU公式情報をもとに、S:HEVの2.5L水平対向エンジン、2モーター、機械式AWDの構成を分かりやすく示すためAIで作成した概念イメージです。実際の部品形状・配置・配線等を正確に再現した公式技術図ではありません。

S:HEVは、従来のe-BOXERよりも電動走行を大幅に強化したストロングハイブリッドです。

SUBARUは以前から、トヨタハイブリッドシステム(THS)の技術を取り入れながら、SUBARU独自の水平対向エンジン・縦置きパワーユニット・シンメトリカルAWDに合わせてシステムを再設計する方針を公表してきました。

つまり、トヨタのハイブリッドシステムをそのまま搭載したものではありません。

SUBARUのレイアウトに合わせ、駆動用モーター、発電用モーター、フロントデファレンシャル、電子制御カップリングなどを一体化した専用トランスアクスルを開発しています。

① 88kW・270N・mの駆動モーター

S:HEVの駆動用モーターは、最高出力88kW(119.6PS)、最大トルク270N・m。

従来クロストレックのe-BOXERが10kW・65N・mだったことを考えると、モーターの役割が単なるアシストから大きく変わっていることが分かります。

SUBARUは、S:HEVについて幅広い走行シーンでモーター駆動をメインとし、モーターが苦手とする領域をエンジン駆動がカバーすると説明しています。

走行条件やバッテリー残量などが整えば、エンジンを停止したEV走行も可能です。

ただし、S:HEVの高電圧バッテリーはクロストレック発表時の公表値で総電力量1.1kWhです。PHEVやBEVのように数十kmをEVだけで走ることを目的としたシステムではありません。

② 専用2.5L水平対向エンジン

エンジンには、ストロングハイブリッド専用に開発された2.5L水平対向4気筒直噴エンジンを採用。

  • 最高出力:118kW(160PS)/5,600rpm
  • 最大トルク:209N・m/4,000〜4,400rpm

モーターだけでは効率が落ちやすい高車速域などをエンジン駆動で補い、街乗りから高速道路まで効率よく走れるよう制御されています。

「ハイブリッドだから常にエンジンを止めて走る」という考え方ではなく、モーターとエンジンの得意な領域を使い分けるのがS:HEVのポイントです。


2. なぜ後輪モーター式ではない?SUBARUが機械式AWDを残した理由

ハイブリッドSUVには、前輪をエンジン+モーターで駆動し、後輪を独立した電気モーターで駆動する電気式AWDを採用する車種もあります。

一方、SUBARUのS:HEVは、プロペラシャフトで前後輪をつなぐ機械式AWDを採用しています。

ただし、「前後輪が常に固定された状態で直結されている」「常に前後50:50で駆動している」という意味ではありません。

① 路面状況に合わせて前後トルクを制御

S:HEVのトランスアクスルには電子制御カップリングが組み込まれており、路面状況や走行状態に応じて前後輪へ伝える駆動力を制御します。

滑りやすい路面などでAWDが必要になれば、後輪へ素早く駆動力を伝達。

一方、AWDによる駆動が必要ない状況では、クラッチを開放して後輪へのトルク伝達をカットする「クラッチ開放制御」も採用されています。

これによって、SUBARUらしい機械式AWDの基本構成を維持しながら、駆動損失を抑えて燃費性能との両立を図っています。

② X-MODEなどとAWDを協調制御

雪道や未舗装路などでは、X-MODEを搭載する車種でエンジン・モーター・AWD・ブレーキなどを協調制御し、滑りやすい路面からの脱出や安定した走行を支援します。

電気式AWDと機械式AWDのどちらが一律に優れているというものではなく、それぞれに特徴があります。

S:HEVで重要なのは、燃費性能を高めるためにSUBARUが長年培ってきた機械式AWDを捨てるのではなく、電動化と組み合わせて進化させたという点です。


3. 63L大容量タンクで航続距離を大幅に伸長

S:HEVのもう一つの特徴が、63Lという大容量燃料タンクです。

従来クロストレックの2.0L e-BOXERは48Lでしたが、S:HEVでは15L拡大されています。

PCUをエンジン上部へ移動

S:HEVでは、高電圧バッテリーを荷室フロア下に配置しています。

一方、従来は荷室床下に配置していたPCU(パワーコントロールユニット)をエンジン上部へ移動しました。

これによって燃料タンク周辺のスペースを確保し、63Lの大容量タンクを実現しています。

「満タンで1,000km以上」は本当?

ここは注意して理解したいポイントです。

2026年9月時点のWLTCモード燃費と63Lのタンク容量を単純に掛けると、以下のようになります。

車種 WLTC燃費 タンク 単純計算上の距離
クロストレック S:HEV 18.9km/L 63L 約1,191km
フォレスター S:HEV 18.5〜19.1km/L 63L 約1,166〜1,203km
レヴォーグ レイバック S:HEV 19.0km/L 63L 約1,197km

※「WLTCモード燃費×燃料タンク容量」を単純に計算した参考値です。実際の航続距離を示すものではありません。また、燃料タンク内の燃料を完全に使い切ることを前提とした走行を推奨するものでもありません。

SUBARU自身も「1,000km超」という表現を訂正している

SUBARUは2024年10月にストロングハイブリッドを発表した当初、クロストレックについて「ワンタンク1,000kmを超える航続距離」という趣旨の表現を使用していました。

一方、WLTCモード燃費と63Lの燃料タンク容量を単純に掛け合わせれば1,000kmを超える数値になりますが、これは実際の航続距離を保証するものではありません。

その後、SUBARUは2024年12月6日にニュースリリースを訂正し、「ワンタンク1,000kmを超える」という表現を削除。現在は「大幅に航続可能距離を伸長しました」という表現になっています。

そのため、本記事でも「満タンにすれば実際に必ず1,000km以上走れる」とは扱いません。

実際の燃費・航続距離は、

  • 市街地と高速道路の割合
  • 渋滞
  • 外気温
  • 暖房・エアコン使用
  • タイヤ
  • 積載量
  • 勾配
  • 運転方法

などによって変わります。

ただし、63Lの大容量タンクと従来e-BOXERより高い燃費性能を組み合わせたことで、給油回数を減らしやすくなり、長距離移動との相性が大きく改善したことはS:HEVの大きなメリットといえます。


4. S:HEV搭載3車種を比較|クロストレック・フォレスター・レイバック

S:HEVを搭載するクロストレック・フォレスター・レヴォーグ レイバック3車種の比較イメージ

※画像はS:HEVを搭載するクロストレック・フォレスター・レヴォーグ レイバックの違いをイメージしてAIで作成したものです。実際の車両デザイン・ボディカラー・装備・車体寸法の比率とは異なる場合があります。

2026年9月時点で、日本市場ではクロストレック、フォレスター、レヴォーグ レイバックの3車種にS:HEVが設定されています。

車種 ボディサイズ 最低地上高 WLTC燃費 S:HEV価格帯 得意な使い方
クロストレック 4,480×1,800×1,575mm 200mm 18.9km/L 383万3,500〜405万3,500円 街乗り+アウトドア
フォレスター 4,655×1,830×1,730mm 220mm 18.5〜19.1km/L 437万8,000〜464万2,000円 家族+雪道+アウトドア
レヴォーグ レイバック 4,735×1,820×1,550mm 180mm 19.0km/L 424万6,000〜452万1,000円 高速長距離+上質感

※価格は2026年9月2日時点のメーカー希望小売価格(税込)。オプション・諸費用等は含みません。

① クロストレック S:HEV|街乗りとアウトドアのバランス型

  • 全長:4,480mm
  • 最低地上高:200mm
  • WLTC燃費:18.9km/L

3車種の中では最もコンパクトで、日常の買い物や通勤にも使いやすいサイズです。

最低地上高200mmを確保しているため、街乗り中心でも休日はキャンプや雪道へ出かけたいという使い方と相性が良いでしょう。

ただし、全高は1,575mmあります。

高さ1,550mmまでという機械式立体駐車場には入庫できない場合があるため、マンションなどで機械式駐車場を使用する場合は事前確認が必要です。

なお、現行クロストレックについては、2026年9月14日に新規注文受付を終了する予定と案内されています。販売状況は時期や販売店によって異なる可能性があるため、最新情報をご確認ください。

② フォレスター S:HEV|ファミリー&アウトドア重視

  • 全長:4,655mm
  • 最低地上高:220mm
  • WLTC燃費:18.5〜19.1km/L

広い室内と良好な視界、SUVらしい最低地上高220mmを備えているのがフォレスターです。

家族での旅行、キャンプ、スキー・スノーボードなど荷物を積んで出かける機会が多い人には、3車種の中でも特に検討しやすいモデルです。

一方でボディはクロストレックより大きく、全幅も1,830mmあります。

都市部の狭い駐車場や道路を日常的に使う場合は、実車で取り回しを確認しておくと安心です。

③ レヴォーグ レイバック S:HEV|高速ツーリングと上質感

  • 全長:4,735mm
  • 最低地上高:180mm
  • WLTC燃費:19.0km/L

2026年7月にS:HEVが追加されたレヴォーグ レイバックは、クロストレック、フォレスターに続く3車種目のS:HEV搭載モデルです。

ワゴンをベースとする低めの重心と、レイバックらしい上質な乗り味を重視したクロスオーバーで、高速道路を使った長距離移動との相性が良いモデルです。

S:HEVモデルは全高1,550mm、最低地上高180mm。

フォレスターのような最低地上高を重視したSUVとは性格が異なり、悪路性能よりも舗装路でのツーリング性能や乗り心地を重視したい人に向いています。

全高1,550mmですが、機械式駐車場には全幅・車重・タイヤ幅など別の制限もあるため、全高だけで入庫可否を判断しないよう注意してください。


5. S:HEV購入前に知っておきたい注意点

S:HEVはメリットの多いシステムですが、「すべての人にS:HEVが最適」というわけではありません。

① 実燃費はWLTC値と同じになるとは限らない

WLTCモード燃費は一定の試験条件で測定された数値です。

短距離走行が多い、冬場に暖房を多用する、渋滞が多い、山道を頻繁に走るなどの条件では、カタログ値との差が大きくなることがあります。

② PHEVのような長距離EV走行をする車ではない

88kWの高出力モーターを搭載していますが、S:HEVは外部充電を行うPHEVではありません。

走行状況に応じてエンジンが始動するため、「数十kmを完全なEVとして走りたい」という目的ならPHEVやBEVとは分けて考える必要があります。

③ バッテリー搭載で荷室床下の構造が変わる

高電圧バッテリーは荷室フロア下に搭載されています。

そのため、ガソリン車や従来モデルと比べて床下収納の形状・容量などが異なる場合があります。

キャンプ道具や車中泊用品を多く積む人は、荷室容量だけでなく床下収納や後席格納時の形状も実車で確認することをおすすめします。

④ 3車種で性格がかなり違う

同じS:HEVを搭載していても、クロストレック・フォレスター・レイバックでは車体サイズ、最低地上高、荷室、乗り味が異なります。

  • 日常の扱いやすさ:クロストレック
  • 家族・雪道・アウトドア:フォレスター
  • 高速道路・長距離・上質感:レヴォーグ レイバック

というように、ハイブリッド性能だけではなく普段どこで、誰と、どのように使うかで選ぶのが重要です。



まとめ:SUBARUらしいAWDと燃費性能を両立したS:HEV

SUBARUのストロングハイブリッド「S:HEV」は、単に燃費を良くするためだけのハイブリッドではありません。

  • 2.5L水平対向エンジン+駆動用・発電用2モーター
  • 88kW・270N・mの高出力駆動モーター
  • 幅広い走行領域でモーター駆動を活用
  • プロペラシャフトを用いた機械式AWDを継承
  • クラッチ開放制御によって燃費性能にも配慮
  • 63L燃料タンクによる長い航続距離
  • クロストレック・フォレスター・レイバックの3車種から選択可能

特に、雪道や雨天時の走行安定性、アウトドアでの使いやすさ、長距離ドライブといったSUBARU車らしい特徴を重視しながら、従来より燃費性能も改善したい人にとって、S:HEVは有力な選択肢です。

一方、「満タンで必ず1,000km以上走れる」「EVだけで長距離を走れる」と考えるのは適切ではありません。

燃費や航続距離は使用条件によって変わりますし、クロストレック・フォレスター・レイバックではボディサイズや最低地上高、荷室、乗り味も大きく異なります。

購入を検討する場合は、カタログスペックだけでなく販売店で実車を確認し、可能であれば試乗して、自分の使い方に合ったモデルを選ぶことをおすすめします。

主な参考情報:
・株式会社SUBARU「SUBARU ストロングハイブリッドを発表」
・SUBARU クロストレック 公式サイト・主要諸元
・SUBARU フォレスター 公式サイト・グレード情報
・株式会社SUBARU「レヴォーグ レイバック ストロングハイブリッド搭載モデルを発表」
・株式会社SUBARU 環境技術・ストロングハイブリッド技術情報

参考:SUBARU公式サイト、 クロストレック公式ページ、 フォレスター公式ページ、 レヴォーグ レイバック公式ページ

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